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2011年5月

2011年5月29日 (日)

東北地方太平洋沖地震の考察


大津波が掘り起こしたもの


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東北地方太平洋沖地震の考察(8)



(前回の続き)

42 「カッコーの巣の上で」

官房長官「首相の今度の被災地視察から、福島県は外しますよ」
首相「福島県は危ないだろう、放射能が強くて」
官房長官「しかしあなたは批判されますぜ。首相は視察にも行けないようなところに、自主避難区域として国民を縛り付けているわけですからね」
首相「福島県は行くとしても最後だよ。頼むよ。マスメディアには官房機密費をちゃんと手当してあるのだろうね。例えば、みのもんちっちさんとか」
官房長官「確定的なことはいえませんが、あれは、みのもんきちさんで大丈夫ですよ」
首相「ほんとに大丈夫かね。今思い出したけど、かれの名前は、みののモンキーさんだよ。官房機密費を渡した人の名前も忘れているなんて」
官房長官「マスメディアと大学には東電からも莫大なお金がまわっていますから、大丈夫ですよ」
首相「この間、テレビを見ていたら、放射線は体にいいという学者が出ていて、いくら何でもバカじゃないかと思ったよ」
官房長官「確定的なことはいえませんが、あなたにバカといわれるとしたら、大丈夫です」
首相「何だ、その妙な言いぐさは。失礼じゃないか。きみも記者会見のせいで、だんだんおかしくなってきたな。確定的なことはいえないが。ちぇっ、移ってしまった」
官房長官「自民党との大連立の話は大丈夫ですか」
首相「自民党がひっかかってくれないかな」
官房長官「首相十八番の丸投げ路線ですね。われわれ民主党の閣僚はそのまま内閣に残り、幾つか震災関係のポストを作って、自民党を復旧のための増税に使おうというのですからね。しかし大連立になれば、次の選挙で民主党も自民党も全滅ですよ」
首相「どうせ東日本が放射能で全滅するのだから。国会で追及されなくなるだけ儲けものだよ」
官房長官「足元から反対する人が出ませんかね」
首相「われわれカッコーの巣の、今がよけりゃいいのさ。それはそうと、ぼくの新しい本が出ることになった。タイトルは『明日に向かって売れ』というんだ」
官房長官「何ですか、それは。『明日に向かって撃て』のパクリじゃないですか」
首相「失礼なことをいうな。実は、この本は地震の前にTPPを啓蒙する目的で書いたんだよ。内容はきわめて真面目な本でね。攻めの農業、輸出のための農業というわけだ。ぼくの政治的主張のすべてを注いだ力作だといってもいい」
官房長官「しかし、もはや、どこの国も日本の農産物は買いませんよ。TPPも消費税増税も消えたという意味では、あなたの存在理由はなくなりましたね」
首相「今、何ていった」
官房長官「何もいっていませんよ。ご本は今日の帰りにでも買って読みますよ」
官房長官は、帰りに大きな本屋で車を停めさせると、秘書に『明日に向かって売れ』を買いに行かせた。ややあって、秘書が眉をひそめて帰ってきた。
「まだ出ていないみたいですよ」
「きみは本も満足に探せないのか」
官房長官は車を出て、自ら本屋に入っていった。政治経済のコーナーを見渡したが、確かにどこにも首相の本はなかった。早すぎたかな、と思った。出口で、本の整理をしていた店員に会ったので、念のために、首相の新刊本が出ていないか訊いてみる。店員は、出ていますよ、というと、別のコーナーに官房長官を案内した。そこはコミック本のコーナーだった。


43 原発亡国の6大元凶

1 アメリカ

日本が最初にアメリカから購入した原発は、GEの欠陥製品だったといわれている。現在、破滅的になっている1号機がそれである。欠陥製品を売りつけ、アメリカは儲けただろうが、それより日本の核アレルギーを払拭させ、東アジアに核エネルギー大国を作ることがアメリカの戦略だったと思われる。これによって、日本は、その気になれば、いつでも核爆弾を製造できることになった。それでアメリカは、その悪夢を中国に気付かせることで、日本に核抑止力を持たせないためにも、日米安保条約が中国の国益であることを認識させることに成功した。原発は持たしても原爆を持たせないというこのカードは、実に有効だったのであって、東アジアにアメリカの存在を尊重させる切り札になったのである。

2 政界

原発推進によって、政界には電力業界からの多額の企業献金が入り込むようになった。原発推進政策を推し進め、今日の惨状をもたらしたのは自民党である。その自民党が一貫して企業献金の廃止に反対するのは、これまで巨額の企業献金にありついてきたからである。

3 官界

原発を推進することで、高級官僚は東電のみならず、その取引先銀行などに天下り先を確保してきた。

4 経済界

原子力という、もっとも経済効率のいいエネルギーを、国民の安全を犠牲にして手にしてきた。

5 学会

巨額の研究費と寄付金が、大学院の工学研究科、医学研究科などに寄付されてきた。現在、テレビには毎日のように東大の御用学者などが登場してきて、大丈夫です、のワンフレーズを繰り返しているが、その裏には巨額の寄付金が存在するのである。

6 情報産業

電力業界は、日本のメディアにとっては最大のスポンサーになり、多額のコマーシャル料がマスメディアに注がれてきた。東電の攻勢は続き、マスメディア関係者への接待漬けが続いてきた。今回の大地震が起きたときも、東電の接待漬け(外国旅行)の最中であり、東電とマスメディア関係者は、しばらく外国の空港で足止めを食っている。

現在、菅直人や自民党の谷垣禎一党首が、原子力政策の見直しをいっているが、上記の6大勢力を敵に回して、できるとはとても思えないのである。案の定、菅直人は原発や震災関連ポストの丸投げを画策し、谷垣は政策なき大連立として拒否している。小沢一郎か、亀井静香でなければ、この荒療治は無理である。


44 小出裕章の警告

現在の日本を襲っているような危機的状況には、ほんとうのことをいい、判断は国民に任せるというのが、正しい学者・専門家の在り方である。東大を筆頭とする知識人の在り方は、けっして国民を幸せにはしない。権力にへつらい、企業の寄付金で飼い慣らされ、ひたすら大本営発表と共同歩調を取る知識人の在り方は、先の大戦中の知識人の在り方と完全に重なっている。
京大原子炉実験所の小出裕章は、数少ない良心的な学者のひとりである。かれのラジオインタビューを、関係者が活字に起こしてくれているので拡散に努めることにする。
(掲載するのは、「たねまきジャーナル」の、2011年4月5日(火)の放送分である。21時から22時にわたって、大阪MBS毎日放送ラジオが放送したものである。なお、「小出助教授)」は小出裕章、「水)」は水野クリスタル晶子(毎日放送アナウンサー)、「平)」は平野(毎日新聞記者)の略である。( )内は引用者)

「水)小出先生こんばんは。
今のニュースを聞いていますと、びっくりするような数字が並んでおります。今、問題になっているピットと呼ばれるところの汚染された水の放射性ヨウ素は、国が定める限度の1.3億倍という、億なんて言う単位が出てきました。どんどん高い数値が出てくるんですが、これは小出先生からごらんになったら、もっと高くなる経過のひとつなんですか?

小出助教授)え、事故は続いているのですね。3月11日に原子炉が壊れたわけですが、それ以降一向に収束に向かっていないで続いています。今になって、私ちょっと自分の考えが甘かったと思っていることがあるのですが。
水)小出先生が「甘かった」と思われるのはどこでしょう?

小出助教授)えーっと、原子炉が一度止まったのですね。原子炉が止まるというのは、ウランの核分裂が止まるということですけれど。
水)ウランの核分裂が恐ろしいんですよね、進んだら。

小出助教授)私たちがウランの核分裂が始まることを「臨界」と呼ぶのですが、それが止めたつもりだったんですが、それがもう一度ひょっとすると始まった、それを私たちは「再臨界」と呼ぶんですが、
水)「ふたたび、臨界がはじまる=再臨界」

小出助教授)はい、それがひょっとして起きているかもしれないと、私は思うようになりました。
水)あのう、小出先生は、まあこれはほんとに深刻な事故だけれど、「再臨界」には至らないだろうとおっしゃっていたのですが、

小出助教授)はい、私はそのように思っていたのですが。
水)再臨界に至ってる、ひょっとして始まっているのでないかという理由はなんでしょうか?

小出助教授)それは、あのうヨウ素の濃度が一向に減らないで、むしろ増えてきているのですね。ヨウ素という放射能は半減期が8日ですので、もうすでに3週間以上、3週間どころじゃないですね、半減期の3倍は経っていますので、10分の1には減ってくれてもいいわけですが、それが減らないまま増えて来ている訳ですし、実はタービン建屋の地下水の放射性核種の分析をしたときに、クロルの38というちょっと変わった放射性核種があるのですが
水)クロル?

小出助教授)はい、塩素です
水)塩素?

小出助教授)はい、それが検出されたことになっていて、それは「再臨界」が起きているということにしないと説明がつかないのです。ただ、測定の誤りということは、これまで東電と政府の発表はそれはもう山ほどありましたから、測定の誤りの可能性もまだあると思いますが、その塩素38という核種はちょっと変わった放射性核種ですが、それが出すガンマー線ていう放射線を出すのですが、間違えて検出することは私はないと思うんです。だから、もし東京電力の発表が正しい、分析が間違っていないのだとすると、「再臨界」になっているのではないかなと、思うようになりました。
水)東京電力のデータなんですね。

小出助教授)そうです。
水)クロル38が出ていると。

小出助教授)そうです。
水)ということは、東京電力はもちろン(ん)「再臨界」のおそれを感じてですね、今、手を打っているはずですよね。

小出助教授)えーっと、ただこれは再臨界のときに出るだろうと思われるヨウソ134というのがあるんですが、それは前に東京電力が検出したと発表してですね、私はまさかその時は再臨界が起きるだろうとは思っていなかったので、これは間違えた測定だろうと私は答えたことがあるのですね。そしたら、案の定、間違えてた。そういうことがあったのですが。今回は私としても彼らが間違えるということはないだろうと思うし、ヨウソが減らないということは、ひょっとすると、と今は思うようになってます。
水)これを、今ひょっとすると思ってらっしゃることをイエスなのかノーなのかどちらかでも、確信が持てるようにするには、次はどういうことを確かめなければならないのでしょう?

小出助教授)今、原子炉から漏れてる水はタービン建屋の方に直結して流れてきている、そこのタービン建屋の水をきっちり分析するのが必要だと思います。ただその分析をやろうと思って現場に行くこと自身がものすごい難しいというか、被曝をしなければいけないということですから。
(続く)



今日も最後まで読んでくれてありがとうございます。

 年々にわが悲しみは深くして
   いよよ華やぐいのちなりけり
           岡本かの子

また、面白い文章を書きますね。
みんな、あしたこそ、幸せになあれ!

2011年5月28日 (土)

東北地方太平洋沖地震の考察


大津波が掘り起こしたもの


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東北地方太平洋沖地震の考察(7)



(前回の続き)

38 気が付けば、ただのバカ

テレビの司会者は訊いた。
「福島原発の放射能は大丈夫ですかね」
御用学者は答えた。
「放射レベルは、全く問題ありません。わたしは毎日レントゲンを浴びていますが、元気です、放射能は実は体にいいんですよ」

司会者は訊いた。
「福島原発は、チェルノブイリのようなことにはなりませんか」
「放射線量は、チェルノブイリとは全く違う。スリーマイル・アイランドとも比較にならないほど微量です。事故レベルは、わずか5です。大丈夫です」

司会者は、もはや答えを知っていたが、収録時間を伸ばすために訊いた。
「いつ頃に収束するのですか」
御用学者は答えた。
「確定的なことはいえませんが、もう峠を越したことは確かです。福島原発の20キロ圏内で避難している人はすぐに戻れますよ」

収録が終わって、司会者は御用学者にいった。
「どうもお疲れ様でした。国民をパニックに陥らせないために、そうとう無理をなさったでしょ。放射能は体にいいなんて、あそこまでいっていただかなくても」
「無理なんかしていませんよ」と御用学者はいった。「ぼくは自分が講義や論文でいっている持論を語ったまでです」
司会者はすっかり恐縮し、スタジオの出口まで見送った。『自分をあそこまで殺して、国民を安心させようとするなんて。たいした人物だ』

司会者は帰りに飲み屋に寄り、東京の水と茨城の野菜と福島の人間とを用心深く避けてほろ酔い加減になると、駅に向かった。本屋を見つけて待ち時間を潰した。一冊の本が目に入る。今日、収録した学者の本だった。パラパラとめくりながら、次第に酔いが覚めてきた。そこには、くだんの学者がスタジオで喋ったのと同じことが書かれていた。


39 菅の檻で死者は語る

福島第1原発事故の、20キロ圏内の菅の檻に、震災で亡くなった人の遺体が数百から千体あることが警察の調べでわかった。
菅内閣の非情で無責任な体質があらためて浮き彫りになるような事件である。東電の心配ばかりして、被災地の住民の救出を怠ったつけが、3週間もたって露呈されることになった。しかも原発から約5キロの福島県大熊町で見つかった遺体からは、高い放射線量が測定された。あきらかに死亡後に放射性物質を浴びたものである。

遺体収容の段階で、防護服を着ていても、警察官に二次被曝の恐れが出てきた。遺体に当てた計器が振り切れたということだから、相当な被爆量である。さらに遺体安置所でも、検視する警察官や医師、遺族らに被ばくの恐れが出てくるという。くわえて火葬すると放射性物質を含んだ煙が拡散する恐れがあり、土葬の場合も土中や周辺に広がる状況まで懸念されるということである。結局、遺体収容は取りやめになった。

菅直人も、地元政治家渡部恒三(福島県4区)と玄葉光一郎(福島県3区)も、そして野党の政治家も、こういうことには殆ど関心を示してこなかった。渡部恒三はメディアの前から雲隠れし、玄葉光一郎は早くも東電の救済策に走り出している。県民の方に少しは目を向けたらどうだろう。

遺体は、被爆していることから、明らかに政治家の失敗した原子力行政の犠牲者である。内閣の誰も、そして国会で菅直人のパフォーマンスを追及した野党政治家の誰も、原発20キロ圏の死体収容については、わたしの知る限り言及していない。

この惨状を見るにつけ、日本のお坊ちゃんお嬢ちゃん育ちの政治家たち、そして二世三世の家業政治家たちには、原発の推進は、無理だったのである。政治家のみではない。現在の外国頼みの、後手後手に回る、信じられないような日本のお粗末な技術を見ても、かれらは自分たちには制御不能のことをやり始めてしまったのである。
今後、原発推進を称える者は、この原発20キロ圏内の、声なき死者の声に耳を傾けねばならない。


40 菅直人への辞職の勧め

菅直人は首相を辞任すべきである。平時でもダメな政治家であったが、乱世でもダメな政治家であることが明白になった。

この乱世を、我欲を捨てて、国民の生活が第1という、選挙民との契約を実行する政治家は、現在の日本にはふたりしかいない。小沢一郎と亀井静香である。このふたりに後は任せて、菅直人は政界から引退すべきである。菅直人が首相の座に1秒しがみつけば、それだけ日本の滅びは深まる。

この無能で卑劣な政治家は、最初からボタンを掛け間違ったのである。首相の座につくと、代表選で、挙党態勢を作ると約束したにもかかわらず、小沢一郎を排除することで、メディアと野党の人気を得ようとした。この手法に、この人物の政治知らずと、人物の卑劣さのすべてが透けて見える。

普通、まず自軍の中を固めてから、攻めてくる外敵に向かうものである。菅直人は、敵がもっとも恐れている自軍の将軍とその精鋭の仲間を城外に排除した。さっさと敵に白旗を掲げると、恭順の意を表すことで、自分だけは殺さないでくれ、と哀願したのである。こんな奇妙で底の浅い、そして卑劣な政治は、滅多に見られるものではない。愚かな空き缶政治の幕開けである。菅直人が知らなかったことが、少なくとも3つある。

1 攻めてくる野党は、民主党が割れれば、菅直人を助けるどころか、むしろさらに分裂を拡大させ、自分たちが政権をとる戦略で攻めてくること。

2 民主党支持層の、もっともコアな部分は、小沢一郎支持層であり、これを敵に回したら、次の選挙での過半数獲得は無理であること。

3 現在のマスメディアと、民意とは大きく乖離していること。たとえばマスメディアのアンケート結果と選挙結果とは、大きく乖離していること。

つまり、この無能で卑劣な男と、そのまわりで指南している政治知らずの大学教師たちは、民主党ばかりか、これから日本をも滅ぼすことになるだろう。菅直人は、一刻も早く辞任するべきである。


41 「胸を張って、いざ、地獄へ」

日本経団連の米倉弘昌会長が、3月16日に、東京都内で記者団に対し、福島第1原発の事故について「千年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と述べた。「千年に1度」どころか、今から約110年前の1896年に、明治三陸地震津波が発生していて、このときの津波の高さは、38.2メートルである。今回の津波の最大の高さは、南三陸町の16メートルほどであるから、それを遙かに上回る津波が、わずか110年前に押し寄せてきていたのである。政治も業界も学会もそれを無視した結果が、今回の地球的規模の惨劇をもたらしたのである。
「千年に一度」「想定外」「未曾有」「世界は日本人の冷静さを賞賛している」という言葉が、いかに政治的な勝ち組のプロパガンダであるかがわかると思う。

米倉は、事故が徐々に収束の方向に向かっているとし「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と発言した。そして「政府は不安感を起こさないよう、正確な情報を提供してほしい」と話した。神懸かりのオプティミズムである。

一方、日本商工会議所の岡村正会頭は同日開かれた定例会見で「放射能の放出は、国民が最も不安を抱く。正確かつ迅速な情報提供を望む」と要望した。その上で「原発の建設基準を向上させるしかない。見直しの期間だけ、(建設が)延伸されることは当然起こりうる」と述べ、今後もエネルギー供給の一定割合は原発に依存せざるを得ないとの認識を示した。

ふたりには3つの共通のフレーズがある。

1 原発の推進を主張していること。

2 国民に不安感を与えるな、と主張していること。

3 正確な情報を国民に与えよ、と主張していること。

原発推進のために「国民に不安感を与えるな」という命題のために、かれらは「正確な情報を国民に与え」るな、といっているのにすぎない。歳をとると、こういう言葉の操作に長けてくる。要は「民は寄らしむべし。知らしむべからず」という愚民観に、いつの間にか陥ってしまっているのだ。

嘘の情報、あるいは真実の隠蔽なくして、原発推進は、もはや無理である。
しかし、自明のことを述べねばならないが、日本という国は一握りの大金持ちのためだけにあるのではない。富がたくさんある人間は、人間としても素晴らしいということにはならないのである。むしろ正確な情報を与えても大丈夫なのは国民の方であって、困るのは原子力産業の巨大な<金>に群がってきた政界、経済界、建設業界、学会、そしてその安全性を喧伝してきたメディアなのだ。かくして正確な情報を求めて、人々の視線はネットに、外国の学者に、外国のメディアに向かう。これが、情報を巡って展開している現代日本の悲惨な状況である。
(続く)

東北地方太平洋沖地震の考察


大津波が掘り起こしたもの



東北地方太平洋沖地震の考察(6)



(前回の続き)

36 丸投げ列島

官房長官「新年度の予算編成はどうしましょうか」
首相「財務省が示した一律10%削減でやってもらおう」
官房長官「それはいいですね。自民党時代に戻るわけですね。官僚に丸投げ。尖閣諸島で中国漁船が我が国の巡視船に体当たりをした問題、どう処理しましょうか」
首相「それはきみにやってもらおう」
官房長官「キター! ぼくは那覇地検にやってもらうつもりです」
首相「何だ、同じじゃないか。これも官僚に丸投げというわけか」
官房長官「内閣の支持率が落ちてきていますがどうしましょう」
首相「小沢一郎さんにやってもらおう。小沢さんを叩くと、メディアと野党が喜ぶから」
官房長官「うわあっ、チョースゲエ。支持率アップは小沢さんに丸投げというわけですね。最低」
首相「今、何ていった」
官房長官「何もいっていませんよ。消費税増税はどのように進めましょうか」
首相「与謝野さんにやってもらおう」
官房長官「それはいいですね。これは元自民党員に丸投げというわけですね。計画停電は誰に丸投げを?」
首相「東電に丸投げを。バカ、移ってしまったじゃないか。失礼なことをいうな」
官房長官「予算関連法案は通りそうもありませんが、どうしましょうか。これは誰に?」
首相「いずれ自民党の谷垣さんに総理になってもらってやってもらいましょう」
官房長官「えっ、今度は国難の丸投げというわけですか」
首相「バカ! 人聞きの悪い。大連立といいたまえ」
官房長官「しかし、誰が見たって政権の放り投げですよ。福島原発の真実は、もう隠せないところまできていますよ。どうしますか」
首相「アメリカかフランスに頼もう」
官房長官「うわっ、これも丸投げ先があったのですか。もう日本の首相なんかいらないみたいですね」
首相「何ていった」
官房長官「何もいっていませんよ。耳がおかしいんじゃないか。しかしこればかりは首相が国民に向かって話された方がいいですよ。そのときは、あくまで日本が主体で、アメリカやフランスを使うという立場を強調した方がいいですよ。この程度の危機管理能力、技術力で原発を推進してきたのか、と批判されてはまずいですし、宗主国が心配して出てきたと受け取る国民がいるとまずいですからね」
首相「わかってるよ」
首相の記者会見の後、テレビ局に質問の電話が鳴り続けた。
「いつ日本は独立したんだ?」


37 「日本は事実秘匿」

テルアビブ大のウジ・エベン教授(化学)は、15日の段階で、東日本大震災による原発事故に関し「日本は事実を隠している」と批判していた。そして「公正で透明性のある」情報開示を行うよう訴えた。

外国から何が見える、といってはならない。いくら近くに何年居ても嘘しか吐かない学者もいれば、外国にいても、すべてを見抜く学者がいるのだ。ここで決定的に大事なのは、正直さとか誠実さ、さらには勇気とかといった問題なのである。それさえあれば、長年の世界的な学会の交流、情報のやりとりのなかで、日本のメッセージの真贋はすぐに見抜かれてしまうのである。

エベンは水素爆発が起きた福島第1原発1、3号機について、「日本は原子炉が無傷だと報告しているが、疑わしい。長年使われた炉心には亀裂などが無数にあるものだ」と指摘した。「以前から日本の原子力産業界の幹部は情報をねじ曲げていると批判されてきた」とした上で、今回も「当局の広報担当者は中身のない声明でお茶を濁している」と批判した。これは15日の段階である。

3月17日の段階で小沢一郎は「東北関東大震災に際して」という声明を出し、そのなかで、「今日の地震と津波による、福島県の原子力発電所における火災や、爆発による放射性物質拡散などの事態につきましては、政府、東京電力に対し、正しい情報を迅速に公表することを、強く求めるものです」と警告を発していた。小沢は28日になって、「原子力の溶融がずっと前から指摘されていたが、原子力安全・保安院、東電、内閣は明確な話を避けてきた。思い切った手だてなしに(原発に)水を入れる、バルブを開けることを繰り返せば、放射能は広範囲に飛散し、汚染が広まることがある。(政府は)国民、地域の皆さんに正直に話をして、理解を求めた上で、思い切った作業をするべきだ。このままずるずる行ってしまうと日本全体がめちゃくちゃになる」と、より具体的で強い調子で述べるようになった。

日本にも、この危機を乗り切れる政治家がふたりいる。小沢一郎と亀井静香である。ふたりとも菅直人と根本的に人柄が違っている。ふたりは誠実であり、直裁であり、思考が合理的で論理的である。マスメディアを恐れないことでも共通しているが、なによりも自国を愛している。

それに対して菅直人は、感情的であり、政治を権謀だと勘違いしており、国よりも自分の延命を優先している。マスメディアを恐れるあまり、ポミュリズム(大衆迎合主義)に陥っている。こんな愚か者にこの危機を乗り切れる筈がない。しかし、この国の情報産業(マスメディア)と、民主党内のB層の愚かな力で、愚か者が首相になり、日本をずるずると破局に向かわせているのだ。

ここから先は、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章に語ってもらおう。前回の引用の続きである。(「たねまきジャーナル」 2011年3月25日 21:30~22:30 大阪MBS 毎日放送ラジオ なお、「水)」は水野晶子アナ、「近)」は近藤勝重毎日新聞専門編集員、「千)」は千葉アナの略 ( )内は引用者)

(前回の続き)
「水)これあのせっかく命懸けで作業をしてもらってる訳ですけれど、たまった水でそこで放射性物質が今回被曝を作業員の方がされたとなりますと、作業を続けるためにたまった水を排水しなきゃいけないということですが。

小出助教授)はい、作業のためにはそれが一番いいとおもいます。
水)それはどの程度の難しい作業なんでしょうか?

小出助教授)排水をしようと思うと、地下にたまってるわけですから、排水をするためにまたポンプを動かさなければならないと思います。そのために地下にピットという槽があると思います、そこの槽は排水を送るためのポンプですね。そのポンプがすぐに動くのであれば送れると思います。それが動かないというのであれば水中ポンプという別のポンプを入れて作業をすることになると思います。
いずれにしても大変な困難です。
近)あのう、先生ね、一進一退といってしまえばそれまでなんですけど、要するに今の状態ていうのは悪化していっているんですか?

小出助教授)えーと、ずっど悪化してきました。でもこの数日(この放送は3月25日 21:30~22:30)は、悪化も食い止めてるし、好転も出来ないという状態だと思います。
近)先生、以前わたしの番組に出た時の先生のお言葉で「祈る思いだ」「祈りたい」っておっしゃってましたよね。先生の「祈りたい」っていうのは、同じですか?

小出助教授)はい、もう私には東電の社員のひとたちが頑張ってくれるしか手の打ちようがないと思います。私が自分でできるなら何でも自分でやりたいと思いますけれど、東電の今の現場を知ってる人たちがやってくれる以外には手の打ちようがないと。
近)つまりわたしが言いたいのは、先生の祈りが通じているほどのものでもないわけですね、今。

小出助教授)はい、残念ながらその最悪のシナリオというものを私自身がなくなった思うほどには好転していないのです。
水)今回、作業していて被曝なさった方たちが、線量計のアラームが鳴っていたのにそれを故障だと思い込んで作業を続けていたと。これ、びっくりするんですけどね。こういうことって専門家の方から見たらどう見えるんですか?

小出助教授)私から見るとアリエナイと思います。ただし、二つのシナリオが考えられると思います。ひとつは現場に3人の方が行かれたというんですが、ひとりの方は契約会社の社員だったと、たぶん私は東芝のい社員だと思うんですけど設計してよく知ってる人ですね。その人は長靴を履いていたんだそうです。あと二人の方は東電の直接の関連会社方だと。新聞報道でありました、要するに下請けですね、その人たちは長靴すら履いていなかったということで私はちょっと驚きました。
極端なシナリオを二つ考えてるんですけど、ほとんど知識のない人が現場に行ったということ。それだアラームメーターの何すら知らない、それで行って知らないまま水に入っても大した危険もないと思ってそこで作業したという極端なシナリオがひとつのシナリオですね。もうひとつのシナリオは十分に知っていたと。アラームメーター鳴ってその意味も知っていたと。でも自分たちの仕事をしなければ、今の危機を救う事ができないと。だから、行ってみれば水があることがわかるわけですよね。自分が履いているものが長靴でないこともわかる。でもたぶんそこまで彼ら何百メートルも走ってきてるです。暗い懐中電灯をもって彼ら走ってるんだと思うんです。そこに着いたんです。何か仕事をしなければ今の危機を乗り越えられないと思ったときに、この水は汚れてると知りながら入りという人はいると思います。
水)うーん。
近)覚悟でですが?

小出助教授)はい。極端な私の描くふたつのシナリオです。でも、それほど困難な作業なのです。
水)あのう、ということは、ほんとうに短い時間しかお一人が作業でる時間がない。

小出助教授)それは、もうみんな承知しているのです。
水)あのうほんとうに多くの作業員の数を確保するということも必要なのでしょうけど。

小出助教授)これから必要になります。どんどん。
水)はー、そうですか。そんなに多くの専門家はいはるのですか?

小出助教授)えーと、ますます少なくなっていくと思います。特殊技能を持った人がやらなけばならない事が多いはずですか。そういう人がどんどん少なくなっていくときに、知識のない人、いわゆるなんて言うんでしょうね、巷でいう鉄砲玉みたいに使われるひとも含めて被曝させられて行くのかなと思います。
水)そうであっては困るのですが、ラジオネーム、レオトラさんから宇都宮から聞いているということで、メールくださいました。栃木でもこの原発の影響で水道水を信頼して飲めないような状況なりつつあります。非常に不安な状況です、とおっしゃってるのですが、(原発から)今回20㎞~30㎞の圏内の人たちに、自主的な避難を呼びかけるということになりました。これは、避難指示は出さなくて大丈夫だ、小出さんはお考えになります?

小出助教授)えー、私はその報道を聞いて、なんて言うんでしょうね、私はあんまり感情的な事を言ってはいけないという職業にいるのだと思いますけど、怒りを抑えることができません(怒)
この政府はなんとキタナイ政府かと(怒)
水)はー。(水野アナ、小出先生の発言に唖然)

小出助教授)ほんとうに必要なことであれば指示を出して逃がさなければならないのに、自主的に逃げろって、一体どういうことを言ってるのかと(怒)
近)そこは先生やっぱなんかね、アリバイなんですよ。
水)なんですか、それ!
近)とりあえずそういうことを言ってただろうってことを、とりあえず言ってるわけですよね。

小出助教授)そうですよね。非情な政府ですね(悲)
水)あのう、福島の地域の一部で出ていた1.4ミリシーベルトっていうのは、どういう意味のある値ですか?

小出助教授)だって、普通の皆さんは1ミリシーベルト以上浴びてはいけないと政府が決めているんですよ(怒)。それを1.4浴びてしまったって、そのことに対して一体政府はどういう責任をとるつもりなんでしょうか(怒)。私は放射線業務従事者という非情に特殊な放射線作業に従事する人間ですけど、そういう人間が入る放射線の管理区域という場所でも3ヶ月に1.3ミリシーベルト被爆するようなところ、要するに管理区域なんですけれど、管理区域でもなんでもないところで何日間の間に、1.4ミリシーベルト浴びてしまった。そんなこと、とうてい◯ないことなんです。それに政府が何の謝罪もしない、勝手に逃げろなんていうのは一体どういう政府なのかと(怒)私は思います。
水)そういう意味をもった数字だったんですね。
小出先生また来週も、ぜひ来週もお話うかがわせて下さい。正しいを情報を私たち、入手して考えていきたいと思います。
今日もどうもありがとうございました。
京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにうかがいました。(引用終わり)
(続く)

2011年5月24日 (火)

東北地方太平洋沖地震の考察


大津波が掘り起こしたもの



東北地方太平洋沖地震の考察(5)

(前回の続き)

33 辞めるぐらいなら

官房長官「野菜出荷の停止の発表は誰がしましょうか」
首相「それはまずい話題だから君に頼むよ。責任は東電に押しつけてくれ。小沢さんの責任にしてもいいよ」
官房長官「それはいいですね。しかしどう結びつけますかね。原子力発電を推進してきたのは自民党政権ですぜ」
首相「それだったら自民党に押しつけてくれ」
官房長官「水道水の放射能汚染の発表はどうしましょうか」
首相「君に頼むよ。これもいい話ではないから。小沢さんが悪いことにしてもいいから」
官房長官「これで支持率が上がるかもしれませんね。作業員が放射能に汚染された発表は首相からしたらどうですか。日当40万円の話も」
首相「バカをいうな。質問でもされたらどうするんだ。ぼくは空から原発視察して元気づけることになっているんだ。空はいいよ、誰も質問しないから」
官房長官「春の甲子園の始球式とか、プロ野球の開幕戦の始球式とか、人気取りには絶好ですぜ」
首相「質問されないかな」
官房長官「そんなに質問が恐いのですか。絶対、質問されない手がありますよ」
首相「バカ、早くいいたまえ」
官房長官「首相を辞めることですよ。もう誰も質問しません」
首相「質問を受けるよ。いくらでも場を作ってくれ」


34 3月27日(日)の午後から御用メディアの様子が変わった

3月27日(日)の午前中は、御用メディアも御用学者たちも、原発問題は最早峠を越した、という論調だった。しかし午後から明らかに論調が変わった。一言でいえば、もはや国民を騙せない危機的状況が現出してきたようである。(正確にいうと、騙しの論調が変わったということで、まだ正直に危機を語っているわけではない)
それは原子炉第2号基から洩れた水の放射性物質の濃度が、通常の原子炉の水の濃度の10万倍に達したためである。この高濃度の水は原子炉が破損していて、そこから漏れ出ているためとみられる。つまりこの濃度の高さは原子炉の燃料が壊れていることを示している。

ここから先は、御用学者ではない、良心的な学者に語ってもらおう。京都大学原子炉実験所助教の小出裕章である。小出は「たねまきジャーナル」(2011年3月25日 21:30~22:30(大阪MBS 毎日放送ラジオ))で次のように語った。(小出裕章の発言は、東電が高濃度のデータを発表した2日前であることに注意されたい。なお、「水)」は水野晶子アナ、「近)」は近藤勝重毎日新聞専門編集員、「千)」は千葉アナの略である。( )内は引用者))

「水)今日の原発関係のニュースについて色々わからないところを、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生にうかがいます。小出先生こんばんわ。今日もよろしくお願いします。そして、東京には近藤さんがいます。よろしくおねがいします。
まずですね、今日は、ラジオリスナーからの質問からまいりたいと思います。ラジオネーム、アセットマネージャーズさんからなんですけど、原子炉が損傷しているという可能性が出てきたんですよね。
小出助教授)もちろんです。
水)それは3号機の原子炉の中にあると思われる成分が混ざった水が、いま水たまりとなっているという話からわかるはなしですよね。
小出助教授)それもひとつですし、ずっと前から水素爆発ということが起きて原子炉の建屋が吹き飛んでいる訳ですけど、それはもう原子炉そのものが損傷しているという証拠です。
水)そうですね。小出さんはこの件については、早くから指摘をしていらしたんです。アセット・マネージャーズさんの質問です。原子炉が損傷しているとして、その今の状況として放射能の拡散を止める事はできるんでしょうか?
小出助教授)え~、原子炉と呼んでいるものには、たぶん皆さんが呼んでいるものには、いろんなレベルのところを呼んでるんだと思います。一番小さな範囲で呼んでる皆さんは、いわゆる燃料棒のある炉心というところを原子炉と呼んでいる。次のちょっと大きなところでは、その炉心を含んでいる原子炉圧力容器という圧力鍋が(あ)るんですが、それを原子炉と呼んでるように思います。次には原子炉圧力容器を全体にくるむようにした原子炉格納容器という大きな建物があるのですが、それを原子炉と呼んでいる人もいるようなのです。マスコミもどうも混乱しているように思うのですが、現在の状況はいわゆる炉心の部分は一部もう必ず破損しています。それから原子炉圧力容器はたぶん破損していません。
水)たぶん大丈夫?
小出助教授)はい、今のところはまだ破損していません。原子炉格納容器は一部破損しています。
水)あっ、「います」? それはなんでわかるんですか?
小出助教授)えー、例えば今回、3号機でタービン建屋の底に水がたまっていたわけですけれど、それは原子炉格納容器というのは放射能の最後の防壁なのです。防壁なのですがその防壁がすでに破れて外に出て来ているということの証明ですし、たとえば2号機の圧力抑制室というとこで爆発があって壊れたというのは、東電自身が認めている訳で、それは格納容器が壊れたのと同じことなんです。
水)そういうことなんですね。最後の砦といわれる格納容器がどこか一部分破損している。
小出助教授)一部分壊れている。
水)この状態で今、放射性物質が漏れだしてる訳ですよね。で、原子炉の中にある水、冷却水の1万倍のレベルの濃度が出てると。これは、これを止める事はできません?
小出助教授)できません!
水)で、できません?! はあ~。格納容器を修理することはできないのですか?
小出助教授)こんなときには、もちろんそんなことは到底できません。
水)つまり、近寄れないということですか?
小出助教授)はい、はい。
水)はあー。例えばほんとにシロート考えで申し訳ありません。あのー格納容器も全部含めてセメント詰めしてしまって、放射能を出さないようにするということはできないんですか?
小出助教授)最後の最後にはそれをしなければいけませんが、今はとにかく炉心という部分が融けて、原子炉圧力容器が水蒸気爆発をその中で起こさないように、起こしてしまうと、ほんと破局的になってしまいますので、なんとしても(しても)原子炉を融かさないために水を送り続けるということが何より一番大事です。
水)はー。
小出助教授)コンクリートで埋めてしまうとかより前に、まずそれをやらなければいけない。
近)先生、その冷却の作業とか出来るんですか?
小出助教授)これまで2週間格闘してきてるのですね。なんとか原子炉が破局的に壊れないようにしようとして、東京電力の所員の人たちが必至(必死)に作業して来て、今なんとか持ちこたえてきてここまできてるわけです。すべての電源が使えなかったわけで、福島の所員の人たちは消防用のポンプ車をつれて来てなんでもいい、なんとか水を入れようとして海水を入れたんですね。海水を入れてしまえばもう二度と原子炉としてはもう使えないということがわかっているわけですけれども、海水でも泥水でもいいからとにかく原子炉の中に水を入れなければいけないということで、今日まで2週間頑張ってきているわけです。そのおかげで破局的な破損というものを防いで今に至っている。
近)その損傷しているから今の事態が起きている。そうすると復旧作業それは相当な影響をうけますよね。いま海水じゃなくて真水をかけようってことを米軍と一緒にやろうってそれは要するに海水がもうだめだってことですか?
小出助教授)もともと海水というのは塩を含んでいるですね。塩を含んだ水を原子炉の中に入れると水はすぐに蒸発しちゃうんです。そうすると塩分が残るんですね。塩がどんどんどんどん圧力容器の中にたまっていくという、そういう状態になってるはずです。
近)その弊害が出始めてる訳ですか?
小出助教授)はい、そうすると燃料棒というものが原子炉の中に突き立ってるわけですけれども、あっちこっちに塩がどんどんどんたまってくることになると水が流れなくなって燃料棒を冷やす事も出来なくなるだろうと。おまけに、塩とい(う)ものは水に溶けながらまわっているわけで、あっちこっちのバルブとかですね(、)弁とかにくっついてですね、もしほんとうにバルブ、弁を開きたくなったときにひらけないということがあるかもしれませんし、ポンプを回したいと思ってもポンプにまた塩がくっついてポンプが動かないということがあるかもしれない。ですからもともとほんとうは海水はやりたくない。なんともしょうがなくてやってきたんです。もし海水じゃなくてふつうの水を使えるのであれもちろんいいことですし、それをやろうとしてるところです」
(前半の引用はここまで。後半は次回)

大切なことは、事態の把握がまったく違っているということである。今回の人災を早くから指摘していた学者や研究者は、状況の分析も判断も正確なのだと思わなくてはならない。逆に今回の事態を招いた学者や研究者は、現状分析や見通しでも、自己正当化に努めるから、また間違うのである。そして前者は御用メディアによって徹底的に国民の目から遠ざけられている。

こうなれば大本営発表を繰り返すマスメディアは何の役にも立たない。ネットから情報を得るべきである。とりわけtwitterやfacebook、それに外国の動きや外国メディアから情報を得た方が、行動を正確に選択できるように思われる。

たとえば、フランス外務省報道官は、17日に、在日大使館を通じて東京周辺在住のフランス人に対し、被曝による健康被害を抑える「安定ヨウ素剤」の配布を始めたと発表した。フランス外務省は原発事故の深刻化を受けた「予防的措置」としたうえで、「特に妊娠中や出産直後の女性、子供たち、若者にとって、この錠剤の服用は重要だ」と呼び掛けた。

東京と周辺地域に住むフランス人は通常約7千人だが、帰国や他の地域への避難で現在は約3千人に激減している。これが自国民を愛する政治家による政治である。「自主避難」といった冷酷で卑劣な政治とはまったく違っている。
(続く)

東北地方太平洋沖地震の考察


大津波が掘り起こしたもの




東北地方太平洋沖地震の考察(2)

(前回の続き)
14 菅の檻

菅直人が、20キロ以上30キロ圏内の副島原発の周辺住民を、外に出るなと縛り付けてしまったのは、歴史に残る非人道的な暴挙であった。もし原発が最悪の事態に陥ったとき、前代未聞にして最悪の人災として後世に語られよう。裁判になれば必ず国が負ける暴挙である。災害弱者ほど遠方に逃げられない状況にある。

この暴挙の影響をもろに受けた南相馬市の、櫻井勝延市長が、国民に窮状を訴えたのは、16日(水)午前7時10分頃のNHKのニュースである。市長によると、

(1) 自分たちは国の指示を守ったのに、その後、国から何の情報もない(自分たちの情報はテレビだけである)
(2) 灯油が切れ、寒くて困っている。
(3) 30キロで交通規制がかかっており、外から物が入って来なくなった。
(4) 生活物資、ガソリン、食料が窮迫している。確保して欲しい。
(5) 東電の人は、現地に来て、状況を自分たちに知らせると同時に、現地の状況も掴んでほしい。

つまり菅直人の愚策のために、南相馬市の30キロ圏内は、牢獄に閉じこめられた状態にある。閉じこめられたまま、もし大惨事になったら、その責任は菅直人が負わなければならない。こんなむごたらしい暴挙はない。

ところがさらに衝撃的なことがわかった。翌3月17日の「スーパーモーニング」のインタビューに、南相馬市の櫻井勝延市長が答えて、事態が一向に改善されていないことがわかった。市長が語ったことはおよそ次のようなことである。

(1)一昨日、政府の指示が、外出しないでください、屋内にいてください、ということだったので、それを守って屋内にいる。
(2)10分の4ほどの住民は、しかし恐くて脱出していった。
(3)南相馬市全体が汚染地域のように見られていて、食料もガソリンも灯油も入ってこなくなった。水もない。燃料もない。
(4)ガソリンがないから、もはや脱出しようにも出来なくなっている。
(5)11日の地震以降、毎日、原発の状況が悪くなるなかで、国や東電からの連絡・情報は一切入ってこない。
(6)自主避難をして住民もいるが、自分たち行政を担っている者は国や県に従わざるをえない。
(7)南相馬市と外部との道路は開通している。車の往来は出来ていたので、(政府の30キロ宣言さえなかったら)住民は生活できていた。
(8)物が入ってこなくなったので、弱者として、市民として、(外部脱出という)苦渋の決断をしなければならなくなった。
(9)現在、水も食料もガソリン、石油、燃料、医薬品もない。支援物資に頼らざるを得ない。南相馬市は現在3.3マイクロシーベルトである。だから安全である。国が責任をもって安全宣言を出して欲しい。そして脱出のためのバスとかガソリンとか出して欲しい。
(10)現在、自分たちは、政府が何もしてくれないから、自分たちで運転手を調達して食料等を搬入しようとしている。
(11)南相馬市に7万人の人口のうち3万人は脱出したのではないかと思う。

翌3月18日の朝の「スーパーモーニング」のインタビューに、同じ南相馬市の、櫻井勝延市長が答えて、事態が少し変化したことがわかった。
市長が語ったことはおよそ次のようなことである。

(1)国土交通省の政務官がやってきて、これから物資を届ける、といった。
(2)南相馬市から避難したいという住民の思いが強くなっており、自主避難が増えている。
(3)避難所が見つかったので自主的に避難し始めた。
(4)新潟県が全面的に引き受けようと申し出てくれた。
(5)その他にも群馬県など23台のバスをもって申し出を受けている。
(6)避難の活動は受け入れの自治体に迷惑をかけないように進める。
(7)食料がまったくなくなっている。国に支援を要請したい。
(8)今日は2千人が避難する。残るのは1万人以下にしたい。
(9)自分は最後まで残る。

無能で冷酷な首相のもとでは、このように各自が自分の判断で動かねばならない。座して死を待つのは民主党員に任せるとして、わたしたちは自分の頭で考え、判断し、行動しなければ、せっかくの人生を売国集団(菅首相・仙谷代表代行・岡田幹事長・枝野内閣官房長官・前原外務大臣・野田財務相・北澤防衛相・玄葉国家戦略担当相・渡部最高顧問ら)によってぶち壊しにされる。ぶち壊しというのは、この場合、国家の暴挙で殺されるということである。


15 菅の檻

国土交通省の政務官は、まさかテレビで取り上げられた南相馬市だけに行ったのであるまい。思いたくはないが、この内閣では十分起こりうることなので、不安である。「屋内退避」の範囲に含まれる市は、南相馬市の他にも、田村市、いわき市などがある。
この20キロから30キロの地域に「屋内退避」を指示した暴挙は、現在の日本の政治家・官僚の想像力の欠如を物語っている。「屋内退避」というのは、この地区は外出が危険な地域である、という国の宣言と同じである。したがって外からは人が入ってこなくなる。その結果、物流が途絶えた。数字ばかりにこだわって、このことが見通せなかったのである。
菅直人も仙石も枝野もこの冷酷な暴挙を改めようとしない。国民の生命よりも、自分のメンツの方が大事なのだ。たかが市長ごときの文句で、姿勢を変えたとあっては沽券にかかわると思っているのだ。一度突撃命令を出したのに、生きて帰るとは何事だ、お前たちはすでに死んだことになっている、もう一度突撃して死んでくれ、といった旧日本軍の精神に酷似したものを感じる。


16 あの人は今

現在の日本で滅多に見られない人物がふたりいる。松本龍防災担当相と東電の社長清水正孝である。
日本には防災担当相という閑職があることを初めて知った。これはよほど暇な役職らしくて、事業仕分けのパフォーマンスにうってつけの対象である。松本はとても恥ずかしがり屋らしくて、国民の前には滅多に出てこない。
この田舎芝居では、監督が国難と叫ぶにしては、主人公たちが不在なのである。ふたりとも、主人公どころか、芝居自体が嫌いらしい。一刻も早く辞任することだ。
辞任といえば、東電の社長は辞任続きである。南直哉が原発データ改竄事件により引責辞任し、勝俣恒久が柏崎刈羽原子力発電所のトラブルによる引責辞任し、今度は清水正孝の番である。ということは、原発という国策自体がもはや無理だということを象徴的に物語っている。


17 未曾有の大災害と「記者クラブ」

民主党菅直人首相による国民への裏切りが進行している。それは以下の5点に集約される。

1 自民党時代の対米隷属政治への回帰(日米安保マフィアへの屈服)
2 小泉時代の市場原理主義への回帰
3 官僚(財務省)主導政治への回帰
4 自民党時代の政治権力と大資本癒着への回帰
5 司法権力・大手メディアとの癒着と迎合

この<5>の「大手メディアとの癒着と迎合」について敷衍する。
世界中を日本の副島原発関係のニュースが駆けめぐっている。なかには中国国内で「屋内退避」を呼びかける悪質なデマ情報もある。そのデマ情報を打ち消すために携帯電話大手の会社が乗り出した中国のような国まで現れている。
もともとメディアの問題は高級な問題である。多くの人は問題意識すらもつことができない。なぜならメディア自体がこの問題を国民の目から隠しているからだ。
実は我が国のメディア問題は、一部の情報産業が国の情報を独占し、企業の繁栄を謀るという、まことに卑小な動機に発している。それは「記者クラブ」を橋頭保にして、権力と一体化し、虚報による情報操作と世論誘導を繰り返すカルテルである。私企業の利益共同体である。
我が国の大手メディアが、小沢一郎の総理に反対するのは、「記者クラブ」という情報独占の仕組みで自分たちの既得権益を守るためである。「政治と金」というような高級な問題ではない。

菅直人は情報の公開を口にしてきた。それをこの機会に現実化すべきである。世界のジャーナリストから顰蹙を買っている「記者クラブ」だけの情報伝達をやめるべきである。これをやっただけでも、菅は後世に語り継がれる宰相になれるのだが、小泉の亡霊に取り憑かれて、メディアに手をつけられないのである。


18 逃げないのは日本人ばかり

在日米大使館は、福島第1原発事故を受けて、福島第1原発から80キロ圏内の在日の米国民に対して、避難を勧告した。在日米軍はより慎重な対応を取り、米国防総省のラパン副報道官は、16日、米軍に同原発から約93キロ圏内への米兵の立ち入りを禁止した。そしてパイロットにはヨウ素剤を配布した。
イギリスは東京及び東京以北に住む英国人に対し、退避を検討するよう求める勧告を出した。
ロシアも18日をめどに日本から一時退避させることを決め、フランスやポルトガルも、日本からの出国や東京からの退避を自国民に求めている。イタリアも出国を勧告した。その他、オーストリア、スイス、オランダ、オーストラリア、台湾、バングラデシュと似たような指示を自国民に出した。
一方、菅直人は、自国の国民にたいして同原発から半径20キロ圏内からの避難を指示し、30キロで止めて、菅の檻で囲った。その後は何の連絡も情報も同地区に入れていない。これが日本の政治である。劣悪なばかりか、自国民に対して冷酷なのだ。


19 菅の檻

どんな動物を飼っても、人は餌をやり、水を与える。菅の檻では食料もやらなければ水も与えない。しかも見に行くことさえしない。この檻を作ったのが人間ではないからである。


20 暴力装置と呼ばれて

お前たちは国家の暴力装置などといわれた政府から、困ったから助けてくれ、といわれて、それでは命を賭けましょう、とはならないのが軍人である。それにしては自衛隊はよくやっている。
この政府は根本的に心を改める必要がある。民主党は半分を政界から一掃する必要がある。自国の軍隊を侮辱し、困ったときだけ命を賭けさせる政治家や政党など、存在してはならないのだ。小沢一郎の件を見ると、この政府が自衛隊に感謝のポーズを見せるのも、今だけである。
(続く)

東北地方太平洋沖地震の考察


大津波が掘り起こしたもの



東北地方太平洋沖地震の考察(4)


前回の続き)

26 お前が飲めよ

メディア「大臣、空気中に放射能が検出されましたが」
大臣「大丈夫だよ。直ちに健康を害することはない」
メディア「大臣、野菜が放射能に汚染されましたが」
大臣「大丈夫だって。食べたところで直ちに健康を害することはない。<冷静に>と<直ちに>がキーワードだよ」
メディア「大臣、雨に放射能が検出されましたが」
大臣「何、風呂で流せば大丈夫。神経質になるなって。直ちにどうなるってことはないから」
メディア「大臣、水道水に放射能が検出されましたが」
大臣「大丈夫だよ。今時、水道水をそのまま飲んでいる人間っているのかね。直ちに健康を害することはない」
メディア「直ちに、ということは、将来にわたって飲み続ければ危ないということですか」
大臣「君もくどいな。メディアの役割は政府の情報をそのまま忠実に流すことだろ。考えるなって。一度や二度飲んだからといって、死ぬわけじゃあるまいし」
メディア「そうですか。よかった。今、大臣がお飲みになったのは東京の水道水です」
大臣「何、き、貴様、ぼくを殺す気か!」


27 ソロバン仕掛けの、かくも安い下請けの命

福島第1原発の事故に関して、フランス・パリ大学のポール・ジョバン准教授が、24日付ルモンド紙のインタビューで、要旨次のように訴えた。

1 強い放射線にさらされながら事故現場に踏みとどまり、電源復旧などに取り組む作業員(東電はこれを「協力企業」などと狡猾な呼び方をしているが、下請けのことである)等に「死の危険」が迫っている。交代要員の派遣など増援が必要である。
2 少なくとも外部から応援の作業員を呼び寄せて緊急に1人当たりの放射線被ばく量を減らす必要がある。少人数の技術者や作業員に依存する態勢に問題がある。
3 日本の放射線防護政策は、何より原子力産業の保護を優先している。原発作業員が白血病などを発症しても、めったに労災と認定されない。厚生労働省が今回の事故対策に限り、被ばく線量の上限を250ミリシーベルトまで引き上げた緊急措置は、作業員が死亡することになっても(東京電力が)補償請求を免れるための方便である可能性がある。

このような記事を日本の新聞も書いたらどうか、といいたい。それに連合が黙っているのも不思議である。この労働者の組織は、すっかり体制側につき、むしろ権力の補完物になってしまっている。
菅直人は、菅の檻を、20キロから30キロの間に短く設定した。将来予想される政府と東電との賠償責任額を少なくするためである。被ばく線量の上限をこれまでの100ミリシーベルトからいきなり250ミリシーベルトまで引き上げた措置は、それと同じ発想である。これで、下請けの作業員が死亡することになっても、政府と東京電力が、補償請求を免れるためである。つまり下請けの労働者の命を安くするために、賠償責任のハードルを高くしたのである。ここでも、菅直人は、国民の生命とお金とを天秤に掛けて、お金をとったわけだ。菅のいう「最小不幸社会」の実現である。

ポール・ジョバン准教授の指摘は現実になった。3月24日に、下請けの作業員が3人被爆したのである。東電は例によって「協力企業」の作業員と呼んで自分たちの責任を薄めようとしているが、下請けの作業員である。この原発事故では、政治家や東電や官僚は危険な場所には近付かず、もっぱら自衛隊員や下請けの作業員や消防署員に危険な作業をやらせている。松本龍防災担当相や東電の社長清水正孝などはメディアの前すら顔を見せない。菅直人は遊覧飛行ばかりやっておらずに、20キロから30キロ圏内の菅の檻に常駐し、福島原発で命を賭けて働いている国民を見舞うべきである。実際にベータ線熱傷を負った作業員を見舞うべきである。
水もろくに飲めない国にわたしたちは住まねばならなくなった。これから莫大な補償(福島県民・広域にまたがる農業関係者・漁業関係者)はすべてわたしたちの税金から払われる。そればかりではない。諸外国の日本産品の禁輸措置、観光客の激減と、その損失は何年にもわたって莫大な額に上るだろう。世界中で失った日本への信頼は計り知れないものがある。これもすべて原発発電を推進してきた政治家のやったことである。原発に頼らなくてもやっていけたし、その声は国会でも学会でもあったのに、強欲資本主義の経済効率の誘惑に負けて、原発を導入した結果がこの罰である。
わたしたちは、かくも政治の劣化した国に住んでいる。もちろん民主党の全てがこういう政治家ではないのだが、大方は無能と未熟とで、この政党からは菅直人を降ろすエネルギーすら出てこない。そのことによって自らの首をも絞めているわけだが、大方の民主党の国会議員は、次の選挙などどうでもいいのであろう。どうせ落選するのだから、今の任期を少しでも延ばし、高給をもらおうということしか考えていないにちがいない。都知事選に候補も立てられなかった内閣によって、国政が仕切られていることこそ、日本の最大の不幸なのである。


28 「最悪なら東日本つぶれる」

原発事故をめぐって「最悪の事態になったときは東日本がつぶれることも想定しなければならない」と、菅直人が首相官邸で会った笹森清内閣特別顧問に語った。16日夜のことである。
笹森は、菅直人が「僕はものすごく原子力に詳しいんだ」と専門家を自任しており、東電の対応について「そういうこと(最悪の事態)に対する危機感が非常に薄い」と批判し、「(自分は)この問題に詳しいので、余計に危機感を持って対応してほしいということで(15日早朝に)東電に乗り込んだ」と続けたという。
「最悪なら東日本つぶれる」ような危機感を持ち、「僕はものすごく原子力に詳しいんだ」と自任するほどであったなら、そんな危険なところに、菅の檻で囲まれた福島県の住民は死ぬべく見捨てられたのである。
これは人の姿をした悪魔の所行である。


29 アメリカが日本政府への不信を強めている

米国政府は、福島第1原発の危機をめぐる日本政府の公表情報への不信を深め、米国独自の高性能の放射能測定装置を日本で使い始めた。具体的には、次のようなものである。
1 米空軍が空中から大気の放射線と地上の汚染のレベルを測る高性能機器「空中測定システム(AMS)」
2 空軍無人偵察機グローバル・ホークと高度偵察機U2
3 人工衛星による偵察
米政府が独自にこの種の機器の投入に踏み切った理由は、日本側の発表情報への不信を深めたためとされる。それはたとえば次のような日本側の措置だった。
1 福島第1原発4号機の使用済み核燃料プールについて、日本側がまだ水があると述べた。(米側は反対に「完全に乾いている、と分析していた)
2 住民の避難区域も日本側は同原発から半径20キロ圏内とした。(米側は80キロに設定した。科学的根拠に基づいてである)
3 福島第1原発の4号機についての日本側の発表情報は主としてヘリからの肉眼による観測を根拠とした。

外国からも信用されていない政府である。自国民から信用される筈がない。東京で水などの買い占めが行われている。政府と御用メディアはそれの防止に躍起になって、安全をアピールしているが、政府と御用メディア自体が信用されていないのである。国民は、自分で自分を守るという悲しい行動に追い込まれている。


30 ♪いまさら志郎♪

東京電力福島第1原発を設計した東芝の元技術者の小倉志郎(69)が、16日、東京の外国特派員協会で記者会見した。そして「1967年の1号機着工時は、米国ゼネラルエレクトリック社(GE)の設計をそのままコピーしたので、津波を全く想定していなかった」と明かした。
三陸沿岸は津波の多発地帯である。しかし津波が比較的少ない米国技術が、今回の被害の盲点となった可能性があるという。
小倉は、1、2、3、5、6号機の冷却部分などを設計したのだが、「1号機は、日本側に経験がなく無知に近い状態だった。地震津波の多発地帯とは知っていたが、批判的に検討、判断できなかった」と話した。
2号機からはGEの設計図を改良したが、「マグニチュード8以上の地震は起きない、と社内で言われた。私の定年が近くなってやっと、地震対策の見直しをしたが、それでも大地震は想定しなかった。責任を感じる」と述べた。

この記者会見に疑問や怒りを抱いた専門家も多いと思われる。「社内」ではそうだったかもしれないが、「社外」ではこの設計の危険性は最初から指摘されていたのではないか。ほんとうは小倉もこれで不十分だと危惧を抱きつつ、経済効率しか考えない強欲な経営者に押し切られたのではないか。いずれにしても、後悔したところで、起きてしまったことが大きすぎる。わたしだったら、自分には反省する資格もないと思うだろう。


31 自己防衛だらけの政治

枝野幸男官房長官は、23日午前の記者会見で、原子力災害対策特別措置法に基づく摂取制限の指示を出した福島県産の野菜について、次のように述べた。
1 「(放射線量の)最大値の野菜を10日間食べたと仮定しても、1年間の放射線量の2分の1にとどまる。ただちに健康被害が出ることはないし、将来にわたって健康に被害を与える放射線量を受けることはない」
2 「継続が想定されるので、できるだけ摂取しないことが望ましい」
食べてもいいが、食べない方がいい? これは政府批判には<食べてもいい>と返し、将来の裁判には<食べない方がいい>と断ったと返す、事故防衛に満ちた言葉である。現在と未来の両方に予防線を張っているのだ。まともな人間のいう言葉ではない。


32 チャイナ・シンドローム(China Syndrome)

あまり知られていないが、日本全国の原子力発電所で燃やされた使用済み核燃料は青森県の六ヶ所村にすべて集積されており、すでに満杯状態になっている。しかもここには原子燃料サイクル施設などの原子力施設の他、国家石油備蓄基地や、エネルギー関連施設が集中している。そこを直下型の、阪神淡路大震災クラスの大地震が襲ったときは、地球最後の日である。チャイナ・シンドローム(China Syndrome)の現出である。そうなれば、もはや水をかける程度の話ではすまない。これは大げさな話でもSFの話でもない。学者や研究者が大真面目ですでに書いている話である。その人たちの指摘していたことが、今回現実のことになった。
その危険の巨大さは、アメリカにとっては北朝鮮のミサイルどころの比ではない。どうせ壊れた政治家の指導する日本だと、高をくくっていたのだろうが、直接アメリカの国益にとって致命的な危険が日本に存在することがわかってきた。アメリカは、自国の国益のために日本の原発開発を止めさせるべきである。
(続く)

2011年5月23日 (月)

東北地方太平洋沖地震の考察(1)


大津波が掘り起こしたもの

大津波が掘り起こしたもの

東北地方太平洋沖地震の考察(1)

まず、今回の東北地方太平洋沖地震に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
わたしも阪神淡路大震災に遭い、もう死ぬかといった恐怖を味わった経験があります。どうか力を振り絞って生きてください。もう死のうか、と思ったら、うどん一杯と勝負しろ、と語った太宰治の言葉を思い出しました。どうか死なないで、せっかく親からもらった命、最期まで生きてください。
わたしも、自分にできることをこれからやります。


1 菅の檻

菅直人は、当初、副島原発の周辺住民を、30キロ圏内に縛り付けてしまった。これは歴史に残る非人道的な暴挙である。もし原発が最悪の事態に陥ったとき、前代未聞にして最悪の人災として後世に語られよう。裁判になれば必ず国が負ける暴挙である。しかも20キロから30キロ圏内の住民は屋内に閉じこめられてしまった。もっと遠方に逃げようと思った住民も、国の指示があるので動けない状態になった。
この暴挙の影響をもろに受けた南相馬市の、櫻井勝延市長が、3月16日(水)午前7時10分頃のNHKのニュースで悲痛な悲鳴を挙げた。市長によると、
(1) 国からの何の連絡も情報もない(自分たちの情報はテレビだけである)
(2) 灯油が切れ、寒くて困っている。
(3) 30キロで交通規制がかかっており、外から物が入って来なくなった。
(4) 生活物資、ガソリン、食料が窮迫している。確保して欲しい。
(5) 東電の人は、現地に来て、状況を自分たちに知らせると同時に、現地の状況も掴んでほしい。
つまり菅直人の愚策のために、南相馬市の30キロ圏内は、牢獄に閉じこめられた状態にある。閉じこめられたまま、もし大惨事になったら、その責任は菅直人が負わなければならない。こんなむごたらしい暴挙はない。

2 ご用聞きの怒り
菅直人は3月15日、東電本店に向かった。そして東電幹部に向かって「一体どうなっているんだ!」と怒鳴り上げ「あなたたちしかいないでしょ。撤退などあり得ない。覚悟を決めて下さい。撤退すれば東電は100%潰れます」と言い放った。
愚かである。これはリーダーのすることではない。古来、敗軍の将、兵を語らず、という。器が、所詮、ご用聞きなものだから、B層に向けてのパフォーマンスや責任転嫁ばかり考えるのである。
東電の幹部は、相手が首相だから言い返さなかっただけだ。言い返せない相手に向かって、いくら怒鳴りつけたところで、器の小ささを証明するだけである。

3 人間嫌いの人気

菅直人はまた「東電からの情報が遅い。自分がテレビで知った情報を1時間遅れて東電から受け取った」と息巻いた。悪者を作るのがほんとうに好きである。内閣の支持率が低いのは小沢一郎のせいにし、尖閣諸島は一官僚にすべてを押しつけ、地震の不満は東電に差し向ける。
しかし、当の菅直人は肝腎の相馬市長には何の連絡もとらず、情報も与えていないのである。愚かである。もう少し、自分に厳しくなったらどうなんだ。

4 ご用聞きの一服

しかも菅直人はよほど居心地がよかったのか、東電に3時間余も留まった。ご用聞きがお茶を振る舞われたのである。この間、東電の業務は完全にストップした。リーダーはどこにいて、何をしなければならないかが、まったくわかっていないのだ。のこのこ出かけられると、その間の応対で、現場は何もできない状態に追い込まれるのである。

5 カルテルの情報

政府は、記者会見を今こそ幅広く世界のジャーナリストに開放すべきである。この震災、なかんづく副島原発の炉心溶解には世界中が関心を持ち、危機感を覚えている。また、間違った情報が世界中を駆けめぐっている。それなのに菅直人政権は、相変わらず世界中で顰蹙を買っている我が国の「記者クラブ」メディアとのやりとりに終始している。
今こそ、これまでの遺制的・排外的な情報独占システム「記者クラブ」だけへの情報公開を改め、外国メディア、フリーランス、ネットメディア、雑誌、出版メディアに情報を公開すべきである。それが国民のためだということに気付くべきである。

6 出るものも考えて
被災地・被災者が必要なものは、これまでの大地震と共通しているものが多い。ほとんどそれだといってもいいほどである。そのなかでも緊急に必要なものをひとつだけ挙げる。
それは仮設トイレである。
これは早急に自衛隊の力で避難所に搬送すべきである。これは震災を体験した人でなければわからないことで、絶対に必要なものでありながら、後手に回ってしまうものである。体内に入った物は必ず出てゆく。その場が不潔だと、食べたり飲んだり出来なくなる人がいる。食料の補給は仮設トイレの補充と一体でなければならない。

7 地獄の遊覧飛行

大手メディアは、多くの震災と同じように、絵と視聴率を求めて今回も震災地を飛び回っている。阪神淡路大震災のときは、避難所に来ても、邪魔になるばかりで、何の手伝いもしない取材陣は、「お前たちは何をしにきたんや」「何が面白いんか」と罵声を浴びせられたものである。こういったことを、けっして大手メディアは報道しない。
今回、せめてこれだけはやったらどうか。
つまり、ある場所の取材をしたら、必ずその場所をまわりの道路状況とともに詳しくいい、何が足りないか、被災者が何を求めているかを報道するのである。あるいは緊急患者がいたら、最寄りの病院に搬送してやるぐらいのことはしてあげて欲しい。

8 政治の貧困

自衛隊を10万人体制からさらに増やすべきである。菅直人のやることは逐次投入といった、もっとも悪い投入になっている。わざわざ副島原発を見に行って、2万体制を5万人体制に変更した程度のことしか出来ないから、この男はほとほと勘が悪いのである。
ただ、自衛隊関連の情報では次のことがらにわたしは愕然とした。つまり、自衛隊員が3号機の爆発で4人の負傷者を出したことは知っていたが、防衛省では非常な不満が高まっているといわれる。それは炉への給水活動は、これまで訓練もしたことがないのだという。爆発の恐れがあるなかで、東電や保安院側が「安全だ」として作業を要請したためにやったのだという。まさに作業は命がけだったことが初めてわかったわけである。

9 大惨事の責任者に状況を語らせると

菅直人、官房長官、東京電力、大手メディアに登場する原発関係者(大学教師)の態度は、状況を軽く見積もり、何でもない、たいしたことはない、さしあたって心配はない、余計な心配を国民にかけてはいけない、といった、著しく誠意を欠いた、自己保身と責任転嫁に満ちた姿勢で共通している。テレビの向こうでは子供が笑っていると思った方がいい。専門的知識では夫子に劣るかもしれないが、人間的知見や人間力では夫子たちより勝っている人がほとんどなのだから、もっと真実(事実)を具体的に喋ってもらいたい。真実(事実)がすべてであり、そこからしか何ごとも出発しないのである。

10 電波の中立性

大手メディアは、現在のエネルギー政策に手を貸した人ばかりでなく、批判的だった学者・物書きも登場させるべきである。国民にとっては、最初から情報が偏っているのだ。公平に語らせ、審判は国民の手に委ねたらよい。あまりにも、原子力行政に批判的な学者を登場させなさすぎる。今回の日本の惨状を見て、ドイツは、原発の開発計画を凍結したといわれる。日本の中国電力も原発の建設を中断した。日本の、ごく一部の学者だけが、経済界の利益に手を貸して、国民の生命と安全を危機に陥れているのではないか。
今回の事態を憂慮し、予見していた学者・物書きが必ずいるのである。その人たちの声を大手メディアは国民に届けるべきである。

11 東電の体質

東京電力の対応は、あまりにお粗末である。空だきの段階で、側にひとりしかいず、その人が離れて気付かないうちに炉心の冷却水がなくなり、炉心溶融が進行したといった情報は、これが現在地球的な規模で生命の危険に晒している企業のすることかといった思いを強くする。

12 菅の檻
繰り返すが、ほんとうに政府のとった避難距離でいいのだろうか。わたしなら適切な状況を掴んで家族を連れてもっと安全な距離まで避難する。20キロといった距離にこだわる必要はない。これも学者の考えた数字なら、原発は安全だと語ってきたのも同じ学者である。今はそう振る舞わなければならない状況である。菅直人が東京電力に乗り込んで「覚悟をしてください」といったときがシグナルである。非常に危険な状況を掴んで責任転嫁を謀ったとわたしは思っている。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で那覇地検の法務官僚に責任転嫁を謀ったのと同じやり方だ。

13 政治の貧困

ネット上に次のようなニュースが載っていたので引用する。
「JR釜石駅近くにある食品会社の大型倉庫では、住民50人が倉庫から大小さまざまな箱を路上に運び出していた。食品会社側が食品の提供を決めたという。中身はカップ麺やチョコレート、炭酸飲料など。一時水没したため泥だらけだが、物資不足に苦しむ人たちにとっては「ごちそう」だ。
20代の若者グループは記者に「あんたもどう」とペットボトルの泥をタオルで拭っていた。泥は既に固くなり、異臭も放つが気にしない。大きな段ボールを肩に担いだ男性は「飢えるよりましだ」と息を切らして自分の避難所へ向かった。
住民によると、避難所での食料不足は日々深刻になっており、50代の女性は「何か食料を手に入れても他人に見えないように調理するなど、雰囲気が悪くなっている」と話す。食料不足を理由に、後から来た市民を追い出そうとする避難民も出始めているという。」
わたしはこれを読んで涙がこみ上げてきた。ここに見られた光景は、すべて政治の貧困から来ている。権力と情報と富を持っている者が、それを被災者に出すのに、あまりに遅く、しかも少ないので、庶民同士が争うのである。政治が貧しいと必然的にこのようなことになるのである。追い出した方も追い出された方も、この傷を活かすには次の選挙しかない。
(この項続く)

東北地方太平洋沖地震の考察


大津波が掘り起こしたもの




東北地方太平洋沖地震の考察(3)

(前回の続き)

21 「あ、笑えてきた」

実際にその場面を見たわけではないが、共同通信によると、12日にフジテレビが、東日本大震災に関する菅直人の記者会見を中継した際、スタッフが、「あ、笑えてきた」と発言してしまい、その音声を放送してしまったという。機械は正直だったわけだ。
あわてたフジテレビは、混信の原因について、「音声機器のトラブルに伴う人為的なミス」とし、「発言は被災地や会見に対するものではないが、誤解を招く内容で強く反省すべきこと」として謝罪したという。
共同通信によると、混信があったのは、会見冒頭の午後8時32分ごろだったという。中継映像とともに、別の中継地点にいた複数のスタッフが、
「ふざけんなよ、また原発の話なんだろ」
「くそだよ」
などと話す声が流れてしまった、ということだ。
こういうことはよくあることである。トイレで上司の悪口をいっていたら、いつの間にか後ろに並んでいた上司に一部を聞かれていたというようなものだ。日頃の真実がむき出しになった瞬間である。けっして「誤解を招く内容」などではなく、むき出しの本音が聞かれてしまったのである。
「笑えて」きたのは菅直人の話だったのか、震災の場面だったのか知らないが、原発の話は「またかよ」というのが、メディア関係者、なかんづくテレビ関係者の本音であろう。
もっと面白い、もっと楽しい、視聴率のとれる話題はないのか。もう飽きたよ、と思うのは勝手だが、テレビの内容それ自体に対して、「あ、笑えてきた」「ふざけんなよ、どのチャンネルも同じ切り口じゃねえか」「このくそメディアが」と思っている視聴者も多いのである。

阪神淡路大震災のときは、被災の現場に小綺麗ななりでやってきて、薄汚れて、呆然と立ちすくむ被災者を無神経に撮り続けるメディア関係者があちこちに見られたものだ。「お前等、何しにきたんや」「何撮ってんねん」という罵声を浴びながら。
被災後、十年以上たって、震災を風化させないために、教育現場で体験手記を編集することになった。写真など誰ももっていない。逃げ出すのに、生きるのに、必死だったからだ。毎日必死に求めていたのは水であり、写真などではなかった。それで神戸新聞社に電話して、写真を借りられないかと頼んだ。返事は、1枚5千円ということだった。商用ではない。教育のために、かぎられた部数を印刷するだけである。それが1枚5千円なのだ。そのとき受けたショックはけっして弱くなかった。歳月はこのように人を変える。いや、最初からこのような段取りで、傷ついた風景を、被災者を撮り続けていたのだろうか。もしそうだとしたら、舌を巻く。
現在、被災地をカメラをもって飛び回っている連中には、そういう連中も多いのである。戦時中に大金持ちになった連中がいたように、震災は金になるのだ。


22 「言う通りにやらないと処分する」

海江田万里経済産業相が、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所で放水作業の準備中だった東京消防庁の隊員を「言う通りにやらないと処分する」と恫喝した。
海江田は、問題にされて、「隊員に不快な思いをさせたのならおわびする。言った言わないになるので、事実関係はいずれご報告する」と述べた。「隊員に不快な思いをさせたのなら」という前振りの異様さに気付かないほど、謙虚さを失っているわけだ。
この男は、政権交代間もない国会で、首相の鳩山由紀夫に向かって、「君子は豹変する、というのはけっして悪い意味でいわれているのではない。マニフェストなど守る必要はない」といった趣旨のことを堂々と述べていて、わたしが、民主党への違和感を最初にもった政治家だった。
民主党の政治家の多くに謙虚さがなく、非常に高圧的で権威主義的であるという話はよく聞く。この度の津波災害で、余計高圧的になったと指摘する政治評論家もいる。神風が吹いた、菅直人は悪運が強い、ぐらいに思っているのかもしれないが、そうなのだろうか。甘いとしかいいようがない。この政党への怒りが軽蔑に変わったところに、大津波がやってきた。もしこれで菅直人の支持率が上がれば、日本人というのは、よほど可哀想な民族である。


23 ソロバン仕掛けの、かくも短い避難距離

菅の檻は、20キロから30キロの間に設定してある。異様に短い。各国政府は80キロ以上に設定して、日本から本国へと帰国させたりしている。日本人の国外脱出も続いていて、パスポートの窓口は長蛇の列をなしているという。
菅直人が短く避難距離を設定したのは、将来予想される政府と東電との賠償責任額を少なくするためである。20キロあるいはせいぜい30キロまでが政府と東電の賠償責任額の範囲になる。これを80キロに伸ばすと、賠償責任額の対象が一挙に増えることになる。つまり、菅直人は、国民の生命とお金とを天秤に掛けて、お金をとったわけである。
こんなリーダーをもつ国が幸せである筈がない。米軍への思いやり予算には巨額の税金を投入し、法人税の減税は実施するくせに、貧しい庶民へのこの冷酷さは許されるものではない。福島県民は東京都への電力供給のために恐怖と隣り合わせに犠牲を払ってきた。しかも菅直人は東京都第18区選出の代議士なのである。恩返しという言葉がこの男の辞書にないのは、小沢一郎への態度で証明済みである。


24 予測され、予言されていた福島原発津波事故

何人かの優れた科学者・研究者・物書きによって、今回の事故は早くから指摘されていた。
原子力資料情報室の「原発耐震設計審査指針案意見募集に対する意見・意見案」を見ると、山崎久隆が、「津波の影響を考慮すべきである」として、早くも2006年に次のように警告を発していた。

「2004年のスマトラ島沖津波災害や、1983年の日本海中部地震、1993年の北海道東方沖地震など津波災害の恐ろしさを目の当たりにしてきたのだが、耐震設計審査指針にはこのことが触れられていない。
津波は原子炉建屋を崩壊させなくても、大量の海水により電気系統、特に非常用電源装置を全部破壊するなど、極めて深刻な事態を引き起こす大きな要因になる。
そのうえ、巨大地震が襲った直後に津波に襲われるなどとなれば、極めて危険な事態を招くことは明らかである。
津波に対してとりわけ脆弱と見られるのが冷却用の海水を取水する設備であるが、浜岡原発以外では特段の対策を取っているということもない。
浜岡であっても、海底取水用のプールを設置しているというだけで、津波が引き起こす海底土石流により埋まってしまうのではないかと懸念される。
つまり、巨大地震と津波の来襲はセットであり、この両者の競合にも耐える対策が必ず必要なのであるが、そういった考慮は何もなされていない」
福島原発津波事故は想定外だったわけではない。予測されていたわけで、人災だったのである。


25 雨が恐いの

3月21日、菅直人は被災地視察を行おうとしたが、悪天候のため中止にしたという。菅は宮城県石巻市の避難所を訪問し、その後、事故が起きた東京電力福島第1原発から約20キロの距離にあり、東京消防庁が指揮本部を置く「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町)に移動し、放水活動に従事する隊員を激励する、素敵なパフォーマンスを企画していたという。嘘だろう。

この21日には、現地は雨だった。NHKは例によって、放射能に汚染された雨など恐くない、と放送し始めた。もし濡れたら自宅で水道水で洗い流すか、濡れたタオルで拭けばいい、濡れた服やレインコートは袋に入れて保管してください、という。
保管してどうするのだろう、いずれ洗濯しても外に干す日がくるのだろうか、それにクリーニングに出していいのだろうか、などと考えているうちに、今度は水道水に放射能が検出されたというニュースが入ってきた。すると、今度は、飲んでも大丈夫、命に別状はない、という解説を流し始めた。

何でもいいのである。現実的なものは、すべて合理的で許容されるのである。原子力産業という巨大な富の分配に群がっている者たちにとっては、今が正念場であって、国の未来や国民の健康などどうでもいいのである。日本の大手メディアはそのお先棒を担いでおり、メディアに登場してくる御用学者たちは、すべて原発がなくなったら、富の分配から排除されるわけで、必死なのである。

若い人たちは理解しにくいと思うが、どうしてこういう危ないことを必死に肯定するのだろうと思ったときは、<金>が絡んでいるのである。<金>をキーワードに分析すると、間違うことはない。政界、経済界、建設業界、学会、そして地元にも、巨大な<金>が流れ込んでおり、砂糖に群がる蟻のようにそれにたかっている人間は必死なのである。

菅直人は原発に詳しいと自任している。だから雨を恐れ、遊覧飛行を中止したのだが、それは30キロ圏内に設置された菅の檻の、冷酷な真実がむき出しになった瞬間でもあった。
(続く)

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